印刷物のような体裁を保ったまま、iPadやAndroidタブレットで閲覧できるコンテンツを作るものにADPSというサービスがあります。
ADPSはAdobe Digital Publishing Suiteの略で、Adobeの電子書籍サービスのです。
制作するファイルはfolioと呼ばれるものになります。
Appストアやアンドロイドマーケットに並べて流通させるにはADPSの契約が必要ですが、自分で使うだけだったり、店頭のカタログとして使う場合などは、folioを表示できるAdobe Contents Viewerというアプリを利用して閲覧することができます。

今回は簡単な作り方をご紹介します。



用意する環境

  • InDesign CS5.5(CS5でも作れます)
  • Adobeのアカウント
  • Folio_Panel(Adobeサイトからダウンロードしてインストール)
  • Folio Producer Tools(Adobeサイトからダウンロードしてインストール)
  • iPadにAdobe Content Viewerという無償アプリをインストールしておく

folioのページ遷移

folioはInDesignで制作します。 folioでの電子書籍のページ移動は、縦移動、横移動の2つがあります。
雑誌でいう一つのコンテンツ(特集等)は縦に並び、コンテンツごとにつららのように並びます。
一つのコンテンツごと(縦)に1ファイルのInDesignのファイルが必要です。

一覧で見るとこんな感じです。縦一列ごとに1ファイル(縦横にするなら2ファイル)必要です。
23)

デバイスの縦横データ

また、デバイスを縦にしたとき、横にしたときに表示を変えたい場合は、1記事につき縦バージョン(_v)横バージョン(_h)の2ファイルを用意します。
表紙も一記事として作成しますが、それとは別に、表紙の画像を縦バージョン、横バージョン用意します。

フォルダ構造はこんな感じ。twFolioフォルダ内がfolioになります。
folio構造

制作ファイルの設定

folioは、閲覧環境を選びます。
閲覧環境の画面サイズに合わせて、画面を作成します。
iPadの場合、1024×768(132dpi)で、AndroidのGalaxy の場合1024×600(240dpi)です。

インタラクティブ機能の追加

あとは普通にインデザイン上でレイアウトするだけなのですが、電子書籍ならではなのインタラクティブな機能を付けることができます。
メニューのウィンドウ>エクステンション>Overlay Creator
または
メニューのウィンドウ>インタラクティブ
あたりで色々設定できます。
プレビューはOverlay Creatorパネルの下にある「プレビュー」で確認できます。

例えば、映像や音声の埋め込み、タッチしての画像の切替、360°イメージ、パノラマイメージ、画像のパン&ズーム、スライドショーなどに加え、ネットが繋がっている場合、webコンテンツのページ内埋め込み、folio内ブラウザでのweb表示などです。

個人的にあ!と思ったのは、folio内でのwebコンテンツ表示です。
webサイトへのリンクは、別のブラウザを立ち上げるかfolio内で表示するかを選ぶことができ、folio内で表示させる場合、閉じれば元に戻れます。
別のブラウザを立ち上げた場合、アプリを選択し直して、といったワンクッションがあるのですが、それが必要ありません。
web制作実績のサムネイルを並べておき、クリックで実サイト表示、などといったポートフォリオに使えるな、と思いました。

folioにする

データを全て作成したら、前述のようなフォルダ構成のデータをfolioに変換します。
ウィンドウ>エクステンション>Folio Builder
で新規フォリオを作成し、先程のデータを読み込みます。
folioのプロパティで表紙の画像などを設定します。

iPadで利用する

作成したFolioをFolio Producerでサーバに転送します。
ここでアドビIDでサインインする必要があります。
その後、iPadのAdobe Contents Viewerを立ち上げ、アドビIDでサインインすると作成したデータをダウンロード、閲覧できます。
Acrobat.comを利用して共有したりも可能なようですが、それはまたの機会に試します。

販売するには

AppストアやAndroidマーケットで販売するためには、ADPSの契約が必要です。
奇しくも今日、新しい契約形態が発表となりました。
一番手軽なコースで、iPadのみ対応ですが、1冊29,800円です。
当然ですが、iPhoneアプリのディベロッパー登録も必要です(年1万円弱)

使いどころ

文字を読ませるものには向きません。
書籍でならば画像メインの雑誌やレシピブック(動画も入れられるので)、カタログ(360°viewが使える)、などには最適だと思います。
営業さんが持ち歩く製品カタログの用途であったり、展示会での説明用ツール、店頭説明用のパンフレット代わりなどに使えると思います。
ただし、テキストが画像化されるので、検索できません。
そのあたりはPDFに軍配が上がります。
個人的には、雑誌も、PDFの方がありがたいです。
ただ、営業用ととしてはかなり使えるものが作れそう、というのを今回作成してみてしみじみ感じました。

参考書籍

昨年イーパ部でスピーカーとして来て下さった樋口さんの本を片手に制作しました。
EPUB側も載っているのでお得です(笑)

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